「ボケ」には注意が必要
私はプロのパフォーマーとして「いきすぎたボケ」というか「迷惑行為」をたくさん経験してきました。とくに、自分をおもしろいと思っている関西人に多いのですが、演技の邪魔をしたり、道具を奪ったり、口に入れたり、隠したりします。
芸事の鑑賞時に「品位」が問われますね。
当たり前なのですが、「仕事」として人前に立ってパフォーマンスをしたことがない人は「ただの素人」です。つまり、何をするにしても「自己満足」にすぎないという意識が大切です。その意識があるからこそ「観てくださる人たちに、喜んでもらうにはどうすればいいか?」と考えられるからです。
そのうえで「ボケ」は「わかりやすさ」が大切です。
たとえば、失敗をした相手に「1000円で許しといたるわ」とボケのつもりで言ったとしても、金額が中途半端なのでうまく伝わりません。下手をすると、本当に払おうとします。しかし「5億で許しといたるわ!現ナマやで」だと「ボケ」が伝わり、おもしろくはないですが、なんとか笑いに変わります。
さらに、ボケには「関係性」が必要です。
よく芸人さんのマネをして「イジり」をする人がいます。しかし、その多くが「関係性」が築けていないので「イジメ」「セクハラ」「モラハラ」になっています。相手の「性格」や「価値観」を理解したうえで言わないといけません。
お笑いって、かなり大変なんですよ。
ボケには「品位」「関係性」「わかりやすさ」が必要です。そのうえで「おもしろい」それが基本です。この基本を理解しているから、それらを取っ払っても「お笑い芸人」の方々はおもしろいのです。
これは「マナー」や「一般論」と似ていると思います。「知っているけど、自分の理念にそぐわないからやらない」なら、自分らしさがあっていいですよね。しかし、「知らないから自分流でやる」というのは「単なる無知」にすぎないので、かっこ悪いです。
道を極める手段として「守破離」があるように、基本を十分にマスターしてから、応用していき、最後にはオリジナルを生み出す。それを当てはめて考えるとわかりやすいと思います。
無理に笑いを取ろうとしない。自分らしく話す。相手の話に共感する。それだけで、十分に素晴らしいコミュニケーションですよ。