映画『THE BATMAN』3時間の長編。終始、重苦しい雰囲気で、ゆっくりと進んでいくストーリー。ひさびさに、じっくりと映画を観たような感覚になりました。長い映画ではありますが、どんどんと展開していくストーリーで、飽きずに最後まで観ることができました。
本作のテーマは「復讐」です。登場人物それぞれが「復讐」のために行動をしています。つまり、過去に囚われて生きているのです。
そんな姿を見て私は「過去に囚われて生きること」は「自分勝手な思い込みのなかで生きること」なのかもしれないと感じました。
過去の経験が、自分にとって不都合な事実であろうと、自分の行動を正当化するために信じていたりするのが人間。そうした「矛盾」や「複雑さ」を抱えているからこそ、人間の心理というのは、おもしろくて興味深いです。
人は誰しも「苦い経験」を抱えています。それを「誰かに理解してほしい」と常に思っているのです。しかし、そもそも人間は複雑であり、とても理解しがたいものなので、誰にもわかってもらえなくて当然といえば当然なのです。
だからこそ、そういった「苦い経験」も「甘い経験」も、すべてひっくるめて受け入れることこそが、自分らしく生きることなのだろうと思います。
「〇〇があったから、私は〇〇なのだ」と、たった1つの経験から「いまの自分」を決めつけてしまうことは多いです。しかし、それは自分で自分の行動を縛りつける行為だと気づきました。実際は、そうした狭く苦しい状況でこそ、視野を広く保ち、柔軟な思考が必要なはず。
そうした気づきを得られた本作は、非常にすばらしいものでした。私は、過去に囚われずに生きていこうと思います。