『病気を治す感情コントロール術』書評(樺沢紫苑著/あさ出版)

書評

精神科医・樺沢紫苑先生の『病気を治す感情コントロール術』を読んで感じたことを書いていきます。

私は、うつ症状に悩まされた時期があります。

うつ症状とは、具体的に「易疲労感・倦怠感・動悸・頭重・気力の低下」です。これらが、なぜ起こったのかというと、3つの原因が考えられました。まず、最も大きな要因としては「生活習慣の乱れ」です。その当時、仕事で朝10時から夜12時まで働いて、終電で家に帰るという生活を1年続けていました。なんとか6時間以上の睡眠を取るようにしていましたが、それだけの過労働の疲れを癒やすだけの休養には程遠かったです。

次に大きな要因となったのは「親友の病気」です。同じ時期に、友人が脳の病気倒れてしまい、意識が戻らない状態になってしまいました。実は、小さな頃から誰にも理解されない孤独を感じていた私の心のスキマを埋めてくれていた唯一の友人が病気で倒れたことは、これまでの人生において最も悲しい出来事でした。

そして、最後が「離婚」です。こちらは自分で下した決断だったのですが、やはり苦しいものがありました。結婚して6年。ケンカもなく円満に続けていたのですが「夫婦生活を続けていきたくない」と思うような事柄が重なり、ちょうど仕事の忙しさと親友が病気をした時期とも重なって、耐えきれなくなり離婚に至りました。

この3つの原因により、うつ症状が出ました。(ここで私は精神科受診したわけではないので、うつ病だったのかどうかは分かりません)

本書では、病気を受け入れると「精神的に楽になり、治療への意欲がアップする」とあります。

これは、まさしくその通りでした。当時、すでに著者の樺沢先生とも面識があり、メンタル疾患に関する知識も一般の人の何倍も知っていました。なので、受容がスゴく早かったです。どれくらい早かったかというと、症状がヒドくなる前から受容していました。

というのも、忙しく仕事をし始めてから、スグに「ああ、このまま続けていたら病気になるよな」という意識はずっと持ち続けていたからです。そして、実際にうつ症状が出たときには「案の定、そうなったよな」という気持ちでしたから、他者への怒りも自責の念もなく、スグに治療しようという気持ちが湧いていました。

そうして、すぐに休養を取るために、毎日10時間以上も働く前職から離れて、家で1人でできる現在の仕事(樺沢先生のYouTubeチャンネルの動画編集)にシフトチェンジしたのです。

もともと運動療法がメンタルの不調に効果が優れているというのは知っていましたから、すぐに定期的な運動も取り入れるようにしました。そうすると、次第に気分も明るくなり、徐々にうつ症状も回復していきました。

うつ症状がヒドい時に会った先輩には、私の症状が回復したあと「あのときは別人みたいだった」と言われましたので、結構ヒドい状態だったのだと今では思います(笑)

そして、少し調子が回復したあたりで、大阪から福岡への移住をして大きな気分転換をして、今では絶好調な状態にまで回復することができました。とはいえ、いまでも月に1回2~3日まったく何もしたくなくなる日が続くときがあります。それは本書で「闘う」は最大のストレスとあるように、まだネガティブな感情と闘っている部分があるからだろうと自己洞察して、注意するようにしています。

さて、本書では治療の最後のステップとして「感謝」が重要とあります。そのためには「人に回復の体験を語る」といいそうです。なので、こうして感想として、回復の体験を書いてみました。あまり今まで語りたくなかった部分ですが、こうして書いたことによって、本当の意味で受容ができたような気がします。

そして、最後になりましたが、大変な時期に1人で在宅でできる仕事をくださった著者である樺沢先生に感謝するとともに、お仕事を指南くださった樺沢先生の秘書さん、苦しい時期に心配してくれた先輩、一緒にキャッチボールをしたり食事に出かけてくれた友人に感謝をして終わりたいと思います。

本当に、助かりました。ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。