ネットの登場以前、我々は小さなコミュニティで生きてきたはずだ。しかし、昨今ではゲームやSNSを通して、コミュニティが大きく広がってしまった。そのせいで他人の人生に言及し、常に自分より優れた誰かと自分を比べるようになってしまった。つまり、不幸になった。
しかし、今一度、自分の人生を生きることの大切さを教えてくれる作品。それが『フリー・ガイ』だ。
主人公のガイは、「フリー・シティ」というゲームの世界で毎日同じ動きを繰り返すモブキャラだ。しかし、謎の女性モロトフ・ガールとの出会いをキッカケに彼の行動に変化が表れる。
そのモロトフ・ガールのプレイヤーとは、現実世界の主人公であるミリーだ。彼女はゲームを楽しんでいるわけではなく、「フリー・シティ」に使われているAIが、自分が作ったものであると訴訟を起こしている。その証拠探しのためにゲームをプレイしていたのだ。
そうして物語が発展していくなかで、訴訟問題とゲームの世界に囚われていたミリーが、最終的には目の前の大切なものに気づくハッピーエンドだ。
ミリーの変化は、現代人への問題提起だ。
私たちは、いつしかスマホを何よりも大事にするようになったし、そこから得られる情報が重要だと思い込み、自分の人生よりSNSの世界を生きるようになった。
しかし、本当に大切なものは目の前にあるはずだ。そう訴えかけてくれている。
また一方で、ゲームの世界の主人公ガイは、モブキャラであるはずの自分自身が大きく成長して活躍する。そうして、その他のモブキャラたちに自由に行動する勇気を与えているのだ。
それは、SNSを通して他人の人生ばかりに注目する全ての人々に「あなたはモブキャラじゃない!」「もっと自由に自分の人生を生きるんだ!」と訴えかけてくれているように感じる。
【自分が主人公になって、リアルを生きる】
そういうメッセージを2人の主人公を通して教えてくれる、素晴らしい作品だった。
幅広い世代にウケる映画だと思うが「もう少しアメリカンジョークが理解できれば、もっと楽しめるのに!」と少し悔しくも感じた。というのが私の本音だ。