『もしも社畜ゾンビが『アウトプット大全』を読んだら』の「伏線」すべて回収!

日記

本書を徹底的に分析した結果、気づいたのは【アウトプットで幸せになれる】ということです。(※ここからは盛大にネタバレを含みます。)

まずタイトルが「伏線」になっていることがスゴい!

『もしも社畜ゾンビが『アウトプット大全』を読んだら』というタイトルを見て、誰もが(どうせ「社畜」の主人公が、『アウトプット大全』を読んで、社畜から脱却するのだろう)と考えたはずです。そこからトリックが始まります。

そして、表紙です。表紙に描かれるキャラクター。こちらが「伏線」になっています。

表紙の「4人」がメッセージを伝える「キーパソン」なのです。まずは、主人公の「健」とそのメンターの「真壁」です。この2人は「同じ背景」を持って描かれています。それに対して、残る2人のキャラクター。健の同僚「大川」と謎の掃除婦「七」が「対称的」なキャラクターとして描かれています。ちなみに「七」の登場は、衝撃の展開への「伏線」です。油断していると、ホロッと涙がこぼれそうになります。

もちろん、表紙に描かれていないキャラクター「進・アキ・三波」にも役割があります。そちらについては、のちほど触れます。

ストーリー上、うだつの上がらない会社員「健」と若くして成功した部長「真壁」は対称的に映りますが、オチで「まったく同じ状態」であったことが判明します。

ここでは「健康の大切さ」がメッセージとして込められています。

健のように、成功を追い求める若者ほど、無理をして健康を失います。そして、真壁のように成功した人でも、健康をないがしろにすると、人とのつながりも失われて、不幸になっていきます。いま幸せであるからといって、そのありがたみに目を向けず、維持していくことを怠ってはいけないというメッセージです。

「大川」と「七」こちらの対称的な描かれ方は「盲点」になると思います。私も最初は見落としていました。

ここでは「人それぞれの幸せ」と「女性の社会進出」がメッセージとして込められています。

まず「大川」は「やりたいことがない自分」がコンプレックスでしたが、それを受け入れることで「自分の幸せ」に気づきます。なにも「社会的な成功」だけが幸せではない。自分にとっては「あったかいこと」が幸せであると。あったかいごはん、お風呂、布団、あたたかい人たちに囲まれること。それが幸せなのだと気づいたのです。

つまり、いまある幸せに気づくこと。そして、健康や人とのつながりが大切だということを教えてくれているのです。

一方で「七」は、健の会社の創業者だったことがオチで判明します。女性として「社会的な成功」を手に入れた女性として描かれています。2人の対称的なキャラクターにより、幸せのあり方は人それぞれであること、また、男女差別が色濃く残る日本において、女性の社会進出が大切であることがメッセージに込められています。

残る登場人物は、同僚の「進・アキ・三波」です。

ここでは「スペシャリティを活かすこと」がメッセージに込められています。

もともと「やらされ感」のなかで仕事していた同僚たちは、健の提案によりそれぞれの「スペシャリティ」を活かして仕事を始めます。そうすることで、お互いが助け合い、モチベーションにつながり、新規事業のプレゼンを成功させることになったのです。そこで「挑戦」と「成功」の楽しさを教えてくれるのです。

ここまで分析して、結論に戻りたいと思います。

【アウトプットで幸せになれる】

それぞれのキャラクターが意味するものは「健康・人とのつながり・成功」が幸せだということです。つまり、樺沢先生の『3つの幸福』の「幸せの定義」とまったく同じなのです。健康は「セロトニン的幸福」人とのつながりは「オキシトシン的幸福」成功は「ドーパミン的幸福」です。

つまり、アウトプットは、人を幸せにするのです。

もっと言えば、健が大川に対して「ゾンビ」であることを打ち明けるシーンがあります。それは「必要なアウトプット」をすることです。つまり、ストレスを溜めないために必要な「ガス抜き」なのです。さらに、本書では、あえて描かれないであろう「ムダなアウトプットをしないこと」は、ストレスを「受け流す技術」です。

これは、樺沢先生の『ストレスフリー超大全』につながります。

そして、健は「必要なインプット」だけをおこなっており、「不要なインプット」はしていないのです。これは『アウトプット大全』と対をなす『インプット大全』の内容そのものなのです。

こうした「一貫したテーマ」が本書には豊富に含まれています。シリーズ累計90万部の大ベストセラー『アウトプット大全』のビジネス的な部分を抽出してコミカライズされた作品だと思って読むと、そこまでですが、これだけ多くのメッセージが込められているのです。

それもこれも、樺沢先生のビジョン【情報発信でメンタル疾患の予防をする】に集約されるのだと気づかされます。その一貫した姿勢こそが、現代におけるリーダーシップ。樺沢先生は、現代の社会人にとって「お父さん的存在」だと言えるでしょう。

ここまで楽しんで読めた「ビジネス書」は今までにありません。わたし自身、樺沢先生をお手本にして、精進していこうと改めて思った1冊でした。ありがとうございました。

P.S.実は、キャラクター名も「伏線」になっています。主人公の「外山健(トヤマタケル)」は、日本神話における英雄「ヤマトタケル」をかけたものでしょう。本書が「日本を救う英雄になる」というメッセージが込められているのかもしれません。こちらの「ヤマトタケル説」は、同じ樺沢ファンの方から情報提供いただきました。

また真壁一登は、ストーリーの内容とかけた名前になっています。「一度登りつめて、真の壁にぶつかった人」であり、主人公が乗り越えるべき「真の壁」という意味でしょう。

そして、アウトプットの重要性を教えてくれる「七」を主人公が「七さん」と呼ぶことから「アウトプットとインプットの黄金比率」である「7:3」を表しているのでしょう。

三波は、ストーリー中も「心→システム→スキル」の「螺旋」を解説しているように、「インプット→アウトプット→フィードバック」を意味していると考えるのが妥当ではないかと思います。

大川は「コンフォートゾーン」がテーマだとは思うのですが、名前の由来までは読み解けませんでした。

そして、健と大川。アキと三波。「恋仲」になるだろうという展開は、なぜなのか。そこも気になるポイントでした。

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