著者はレバニラ炒めが好きだという。
元マイクロソフト社長であり、作家や投資家としても有名な著者が、だ。学生の頃に食べていたレバニラ炒めがスゴく美味しかったのだという。500円のレバニラ炒めが「うまい!」「幸せ!」と感じる基準であり、幸せなお金の使い方だということを、本書の冒頭で語っている。
金持ちと接したことがない人は、ここで誤解が解けると思う。
テレビで見た金持ちたちは決まって大盤振る舞いをするし、キラびやかな洋服を身にまとい贅沢な食事に舌鼓をうつ。しかし、実際の
金持ちといえば、倹約家でケチな人が多い。例えば、世界一の投資家として知られるウォーレン・バフェット氏が、毎朝マクドナルドで3ドルの食事で済ませることは有名だと思う。
つまり、金持ちは他人の価値観に左右されずに、自分の価値観でお金を使える人のことをいうのだろう。著者の言葉を借りるなら「金のなる人」だ。
大まかにでも自分の人生に必要な予算を算出することで、初めて「お金」と向き合う資格を得るのである。
第1章 あなたはお金を持って、何をしたいのか より
自分のお金に対する価値観を明確にするのが「金のなる人」への第一歩なのだ。ちなみに、わたしはコカ・コーラ1缶とチョコレートさえあれば幸せになれる。わたしが幸せになるには200円で済むようだ。
さて、著者は「お金を稼ぐことは一番面白いゲーム」だという。
そして本書では、投資や付加価値を生み出すことの重要性を語っているが、「家は買うべきか賃貸にすべきか」はたまた「車は買うべきか」という一般的な悩みに対しても、具体的な回答が得られて面白い。さらには「FeliCa決済」がデファクト・スタンダードになるとしたうえで、著者はSuicaを使いクレジットカードでオートチャージして「JREポイント」を貯めるようにしているそうだ。つまり、ポイントを二重取りしているのだ。
細かいように思うかもしれないが、FeliCa決済にすることで支払いの手間を最小限にしつつ、登録さえしていればポイントを二重取りできておトクになる。という一石二鳥の方法なのだ。JREポイントの存在を知らなかった私は、もちろん即座に登録した。決済のほとんどをクレジットかSuicaで支払えば、わたしでも年間で数万円は返ってくる計算になる。
私にとっては、こうした小さな積み重ねが「金のなる人」への歩みとなるのだと思う。
最後に私が読んでいてスゴく嬉しくなった章を紹介しようと思う。(ダジャレのつもりじゃないからねw)
著者は「Z世代に張ることが最大のチャンス」という章で、大谷翔平や羽生結弦などを並べ、まるで人類が進化したようだと述べたうえで
ビジネスで成功する人が表れるのは、もう少し先だ。どうしてもキャリアが必要になってくる。(中略)10〜20年後、彼らが30代や40代になったとき、ビジネスの世界でとんでもない変化が起こるだろう。
第2章 「稼ぐ人」の思考法 より
と著者は語っている。かくいう私はZ世代で大谷翔平と同い年なのだ。つまり、スゴく勇気づけられたのだ。社会に出てからというもの、ビジネスに対して一生懸命に取り組んできたが、何者にもなれずにいる自分に焦りを感じていた。しかし、こうしてビジネスには時間がかかると理解させてもらえるだけで、救われたようだ。
わたしに「とんでもない変化」を起こせるかどうかは別として、ビジネスマンとして結果が出始めるのも10〜20年後なのだろうと思う。気長に向き合って、細かなことをしっかりと積み上げて行きたいと思う。
というわけで、お金系の本は「マインド系」と「ノウハウ系」の2種類に分かれると思うが、本書は具体的なノウハウも学べて、さらにマインドまで分かるという、二度おいしい内容となっている。これからビジネスを頑張って、お金を稼いでいきたいという同世代の人には、ぜひ買って読んでほしい。そして、40〜50代の人にとっては実践しやすい内容となっているので、やはり手にとってみてほしい。