無償の愛とは、見返りを求めず人を愛すること。これを美徳としている人が多いと思います。そして、そうすることが当たり前だと思われていると感じてきました。しかし、私は無償の愛は存在しないと思っています。
例えば、我が子を愛するとき、それは無償の愛のように感じますが、実際には違います。なぜなら、子供の笑顔によって自分自身が満たされるからです。さらに、我が子は「自分が居なきゃいけなんだ」と感じさせてくれて、所属欲求を満たしてくれるからです。
これは、恋愛においても同じでしょう。
あるあるですが、彼氏に献身的に奉仕する女性が多いです。やる必要もないのに、彼の部屋の掃除をしたり、料理を作ってあげたり、身の回りの世話まで全てやってしまう人です。しかし、彼からは何もしていないという状態です。これは一見すると、無償の愛に見えます。しかし、実際には彼の存在があることで「私が居なきゃダメなんだ」と感じられ、所属欲求を満たすのに役立っているのです。
そう考えたうえで、 良好な関係性を築くために必要なのが「Win-Win」という考え方でしょう。「Win-Win」とは、どちらにもメリットがある状態。すなわち、他者に何かをしてあげるのであれば、何か見返りがあってよいということです。
心理学者アダム・グラントの著書『Give&Take』では、人間を3種類のタイプに分けて「どのタイプが一番成功しやすいのか?」ということが解説されています。その3種類とは「ギバー(与える人)」「テイカー(奪う人)」「マッチャー(バランスを取る人)」です。最も成功しやすいのは「ギバー(与える人)」なのですが、そこには1つ条件があったのです。その条件とは「見返りを求めること」です。見返りを求めない場合は、「テイカー(奪う人)」や「マッチャー(バランスを取る人)」より不幸になると書かれいています。
見返りを求めないで、人に与えてばかりいる場合。自分の手元には何も残らなくなって無理をすることになります。つまり、与えることも続けられなくなります。そうして、利用価値がなくなると他者は離れていくことになります。
まとめますと、人間関係においては「無償の愛」ではなく、「支えないの精神とお互い様という姿勢」が大切だと分かります。そして、他者のためだけに無理をするのではなく、自分のために見返りを求めることが必要だということです。
人間関係で無理をしてしまって、ツラい思いをする人も多くいると思います。ですから、もう少し自分のために見返りを求めてもいいのではないとかと思います。社会的に当たり前だと思われていることは、自分の無意識に作用して悪さをしている可能性があります。ですから、今回の「無償の愛」という考え方のように見直していくことも大切ですね。