「会社での自分の評価が低い」って言うのは、「ウケないのは客のせい」と言っている芸人と同じだなと思いました。
正直なところ、見てくれている人はちゃんと評価してくれます。評価されないのは、単純に「自分の実力不足」だと受け入れることしか、その解決策はないのだけれど、その事実と向き合うのは多くの人にとって苦痛なのだと、社会に出てから知りました。
私が新入社員だった頃の話。新入社員キラーの部署に配属されました。1時間以上も早い出社は当たり前。昼休みも15分しかもらえない。当然、上司はパワハラをする。という感じでした。もちろん、今まで入った人たちは辞めていなくなっていました(笑)
それでも文句1つ言わず、必死に上司に食らいついて、持ち前のコミュニケーション力で、一緒に遊びに行くほど親しくなりました。そうして、仕事をしていると他の部署の人たちからも気に入られて、飲み会に誘われたりするようになりました。
そうして気づけば、取締役が労働環境の悪さを指摘して、朝の早い出社はなくなりましたし、昼休みも1時間取れるようになりました。さらに、入社から1年経った頃、もともと製造現場に入っていた私が、製造部全体の管理をする立場になったのです。
さらに1年経った頃、社内でいつも明るく振る舞う私の、コミュニケーション力が高いことは知れ渡っていました。それが要因で「製造部」だった私は「営業部」に引き抜かれることになりました。長期勤務している人以外では、ありえない人事でした。
正直、ブルーカラーが合わないと思っていた私にとって、どんどんホワイトカラーの仕事に向かっていけたのは、直向きな姿勢を見せ続けたおかげだと思います。誰もが文句を言ってやりたがらない仕事も文句1つ言わずにやっていましたし、いつも明るく誰とも問題なくコミュニケーションを取っていました。逆に、一回り以上も年の離れた人たちの相談相手になって、グチのはけ口になることを買ってでていました。
もちろん社外での勉強も怠らず、この頃は月10冊以上、多い月は20〜30冊の本を読み込んでいました。そして、週末はマジックバーに出演して、マジシャンとしてフリーで働く基礎も養っていました。
いま考えれば、超人的な働きっぷりです。でも、若いうちは、それくらいやらないと何も掴めないと思います。
10代では「好きなことに没頭する」ことで、「独学力」を磨き「スキル」を育みました。20代では「ひたすらに学ぶ」ことが「視座」を高く保ち、「次のステップ」に自分を運んでくれました。
結局、「評価されないのは、自分の責任である」と考えられた人だけが、実力を上げて次のステップに進めるのだと思います。
私が見てきたトッププロマジシャンは、どんな観客であろうと、一定以上の評価を得て、たくさんのファンがついていました。そんな人たちの口から「今日は客が悪かった」なんて聞いたことがありません。私もそれを見習って、どれだけ口うるさく下品な観客であっても、とにかく実力を示すようにしました。
実際、実力さえ示せば、うるさい客も黙ります。あの悪名高い「酔っ払った関西人」が黙るんですから他府県民なら余裕だという自信もつきます(笑)認められたければ、相手の期待を上回る実力を示す。それだけです。常にそうやって、自分に言い聞かせています。
いまは「動画編集」の仕事をするようになって2年ほどです。まだまだ基礎を学んでいる途中ですが、日々手を抜かずに仕事をしています。
そして、いま30代に差し掛かっています。今後は、より一層シビアに実力を見られる年齢になります。なにごとも慢心せず、他人の評価を気にする前に、自分の見直しをする。そういった直向きな姿勢だけは崩さないでやっていきます。