「相手の考えていることが分かったらいいな」と誰もが一度は考えたことがあるでしょう。メンタリストの登場以降、人の感情を推測するテクニックが認知されるようになり、ブームがあったことも確かだと思います。とかく言うわたしもマジシャンをしておりますし「The Mentalist」や「Lie to me」という、メンタリストや表情楽や心理学を用いて相手の感情を推測して、犯罪を解決していく海外ドラマにどっぷりハマったものです。
そして実際に、表情学の権威であるポール・エクマン博士の著書『表情分析入門』や社会心理学者ロバート・チャルディーニ博士の著書『影響力の武器』などで学んだりもしました。またマジック界でも「メンタルマジック」というジャンルがありますから、そういったマジックをメインに演じるメンタリストとして2年ほど活動していたりもしました。
その中で「なぜ、わたしは他人の考えを見抜きたいのだろう?」とキッカケを考えました。その理由は、幼少期の母にありました。母はわたしのウソをことごとく見抜くのです。なぜなのかは分かりませんが、バレるのです。幼少期は、人の考えていることが読めるのは当たり前なのだとさえ思っていましたし、自分の頭の中が相手に見えてはいないか不安になることが多々ありました。そんな経験もあって、私はウソをつくことをやめました。そして、自然とウソを嫌うようになりました。
だから、他人のウソを見抜きたいという気持ちがあって、そういった勉強を始めたのだと思います。
ここまで読んで「はやく、他人の考えを見抜く方法を教えてくれよ!」と思われた人は、ご自身の観察力を磨くチャンスです。ここまでの文章から少し推理力してみてください。見抜けましたでしょうか?
答えは「勉強する」ということです。
すこしガッカリしましたか?もっと、特別な方法があると思った人も多いと思いますが、どんなことでも答えというのは、意外とシンプルで地味なものです。
なぜ、勉強することが他人の考えを見抜くことに繋がるのかと言いますと、キャッチできる情報量が増えるためです。例えば「ウソの笑顔は目尻にシワができない」という情報を知っていなければ、笑って話している時に、相手の目尻をチェックしたりしませんよね。そのように、知識を持つことでキャッチする情報量が増えて、推察するための材料が増えていきます。つまり、推理の制度が上がるということです。
もっと言えば、勉強して知識を増やす行為は「記憶力向上」にも繋がります。そうすると「先日、あの人は○○と言って✕✕していた。そして、今△△な行動を取ったということは、◯✕△ということだろう」というように、キャッチした情報を覚えておいて、推理をすることも可能になります。
それを示すように、上記した「The Mentalist」や「Lie to me」、そして最近見たものだと「ELEMENTARY」というシャーロック・ホームズを題材にしたドラマ、それぞれの主人公は例外なく勉強熱心ですし、記憶力が高く、推理力が高いです。所詮ドラマだとバカにする人もいるかもしれませんが、ドラマや小説で得た知識を有効活用することも「思考力」を磨き、推理力を上げる重要なポイントとなります。実際に、ドラマの中では知識を持っている人なら見抜ける伏線が多くありますし、俳優陣の演技に非言語的に隠されています。おそらく撮影側もそこに力を入れていると思いますから、意外と侮れないポイントなのです。
ドラマからは「そういう視点があったのか!」と気付かされることも多々あります。例えば「ELEMENTARY」では、主人公のホームズが「○○という薬が家にあったが、この病気の人が飲むのはおかしい」と推理のヒントを見出します。つまり、病気や薬に対する知識を持っていれば、その視点から間違い探しができて、真相を見抜くことができるのです。
このように、ドラマや本などから知識を得て、あらゆる視点を持つことによって観察力は上がり、思考力は研ぎ澄まされ、推理はより精度を高めるようになっていきます。
ですので、他人の考えを見抜きたい人は何でもよいので「勉強する」という第一歩を踏み出すことが大切だと思います。勉強したいジャンルがないという人にオススメの1冊は『外見だけで性格を見抜く技術』です。この本を読むと人間観察が趣味になりますよ(笑)