『だれもわかってくれない:傷つかないための心理学』(ハイディ・グラント・ハルヴァーソン著、高橋由紀子訳/ハヤカワ文庫NF)書評

書評

他人に理解されにくい。そうした生きづらさを抱える人は多いと思います。わたしも、その一人です。小さな頃から「孤独感」をずっと抱えて生きてきました。しかし、『だれもわかってくれない:傷つかないための心理学』を読んで、すこし心の荷を下ろすことができましたので書評にまとめることにしました。

本書を読み進めると、すぐに認識のズレがあることに気づきます。認識のズレとは「なぜ、分かってくれないの?」という自分の悩み自体がナンセンスだということです。つまり【人間は、そもそも分かりづらい生き物】だということ。そして、他者を見る時に色メガネをかけて相手を判断するのが人間だということが書かれています。

ここで私は、すこしスッキリしました。「あ、分かってもらえないのは当たり前のことなんだ」と。しかし、ここでもう1つの疑問が湧いてきます。「では、そうしたうえで、他人に理解されるには、どうしたらいいのか?」ということです。もちろん、本書には詳しい解説がありました。

1.相手にとって必要な存在になる必要がある(結果依存性)

2.自分に非があると認めてもらい考えを修正してもらう必要がある(平等主義的目標)

より詳しい内容は、本を手に取って読んでもらいたいのですが、まず相手にとって必要な存在になるという時点で、かなり大変だということが分かります。なかなか友達やパートナーすらできなくて悩んでいる人も多いわけですが、他人に理解されるには、それ以上に親密な関係が必要だということですね。

さらには、話し合いの中で相手に自分の非を認めさせて、考えを改めてもらうということを繰り返しする必要があるそうです。自分に置き換えて考えてみると容易に分かりますが、自分の非を認めるということはスゴく難しいことです。それを他人にしてもらおうとなると、途方もない労力がかかりそうだと分かります。

つまり、他人に理解してもらおうと思うと、膨大な時間と努力が必要だということが分かります。そこで、次の疑問が湧き上がります。「そもそも、理解してもらう必要はあるのか?」です。

この疑問に関しては、瞬時に答えが出ました。「本当に、重要な人にだけ理解してもらえればいい」です。こう思えた瞬間に「ああ、今まではどうでもいい他人にまで自分を理解してもらうと思っていたんだな」と気づくことができて、おおかた理解されないツラさを手放すことができました。

まとめますと、そもそも人間は理解しにくい生き物です。そして、他人に理解してもらうには膨大な時間と努力が必要です。だから、本当に重要な人にだけ理解してもらえるように、継続的な努力をしていけばいいということですね。

本書を手に取るときにあった悩みや疑問。それが見事に解決されて、とても嬉しく感じました。私は、自分の悩みを解決するためだけに読みましたので、細かな内容までは読み込めていません。とくに本書の本筋である他人の認識を歪めてしまう「3つの色メガネ:信用レンズ、パワーレンズ、エゴレンズ」の章を、まるまるスッ飛ばして読み進めたので、まだまだ読み応えのある1冊です。

そして、分かっているようで気づけていなかったことを理解するキッカケを与えてくれて、自分にはない全く新しい見方を知ることができる。そういった1冊ですので、他人に理解されないツラさのある人は、ぜひ手に取ってみてください。