映画『えんとつ町のプペル』感想・ネタバレ

日記

泣いた!

挑戦する人とそれを否定する人の対比

物語は分かりやすく
煙に覆われ空が見られなくなった町で
主人公ルビッチがゴミ人間のプペルと
星を探すという内容です。

この物語は「夢」を語る人と
それをバカにして否定する人たちとの
対比によって成り立っています。

煙に覆われて町に住む人たちは
煙の向こうに何があるか知りません。

しかし、主人公ルビッチは
煙の向こうには「星」があると語り
町に住む人たちからバカにされ続けます。

夢追いかけ挑戦する人 VS ドリームキラー

ですね。この対比にはスゴく共感を覚えました。
なぜなら「知らない」というだけで
とにかく否定してくる人が世の中の9割だと
わたし自身が実感して生きてきたからです。

自分の知らない知識があると
とにかく、まず否定する。

そんな人が圧倒的に多いのです。

例えば、このコロナ禍においても
コロナ関連うんぬんで騒ぐ人ほど
正しい知識を身につけようとせず

そうした知識を伝えると
頭ごなしに否定して態度を変えようとしない
ということが多くありました。

確かに未知のものというのは
命を危険にさらす可能性があるので
それは生物の生存戦略として当たり前の反応です。

しかし、それは「原始時代」の話であり
前頭葉が発達して理性のきく人間として進化している
我々には不要なものです。

むしろ、天敵のいない人間にとって
未知のものというのは「進歩の象徴」であるはずです。

それを否定し他人をバカにして生きることでしか
承認欲求を満たせない9割の人間と

未知に「夢」を託し、挑戦を続けることで
世の中をより良くしようと生きる1割の人間

この縮図が「えんとつ町」で
わたしの経験ともリンクしたので共感したわけですね。

もちろん、これは総監督である西野亮廣さんが
これまで数々の挑戦をしてきて
国民にバカにされ続けてきた背景を
ポジティブに語った作品であり

みんなも夢を追いかけようよ
もっと好きなことしようよ

と問いかけてくれています。

この対比のおかげで
もっともっと挑戦しようと勇気づけられました。

新たな貨幣制度の提案

時間とともに朽ちていく食材や物を
そのまま物々交換するのは大変だということで

物の価値を決める物差しである貨幣が生まれて
物々交換の代役を務めることになった

というのが現代の貨幣制度です。

そこで永久に朽ちてなくならない貨幣に
絶対的な価値があると信じた人たちは
争いを始めてしまいます。

それに異論を唱え時間の経過とともに
朽ちてしまう通貨を作ったのがレター1世です。

しかし、現代の貨幣の流通により権力を手にしていた
作中の中央銀行や国家の陰謀によって
レター1世は処刑されてしまいます。

そこでレター1世の息子は国を飛び出し
中央銀行に干渉されずに済む土地を見つけ
えんとつ町として新たな貨幣制度を持って国を統治しました。

つまり、作中では時間とともに朽ちる通貨レター
という新たな貨幣制度の提案がなされるわけですね

知らない人もいると思うのですが
これは実際に西野さんが出しているサービス

「レターポット」というものです。

わたし自身そこまで詳しくはないのですが
このレターは一定期間を過ぎると価値がなくなり
使えなくなってしまいますが

実際にサロンメンバーのお店を利用するのに使える
貨幣として役割を果たしていました。

(わたしがサロンにいた当時の話なので
現在はどうなっているかは知りません)

こうしたリアルとつながる仕掛けがあるのは
スゴく楽しいなと感じました。

なぜ、ゴミ人間はできたのか?

突然、降ってくる隕石のような赤い石
それを核にしてゴミ人間はできあがります。

なぜ、突然ゴミ人間は生まれたのか?

最後まで謎のまま話が進みます。

しかし、最後には核となっていた
赤い石の正体は亡くなった父親の魂であると
分かるようになっています。

そして、その魂は最後には
空に昇り、星のひとつなります。

そうです、主人公ルビッチにとっての
唯一の希望であった星になるのです。

そこで初めて赤い石が

人の魂であり、心であり、想いであり
夢であり、希望であると気付かされます。

なんとも感動的でジワっとくる伏線でした。

青い目の伏線

主人公ルビッチの父親は「星」があることを語り
町の人たちからバカにされていました。

その父親はあるとき自分の身につけていた
青い玉のついたブレスレットを
息子ルビッチにプレゼントします。

そのブレスレットが指すものが
何なのか途中までは分からなかったのですが
何度も繰り返しフォーカスされる「目」に
違和感を感じて気付かされました。

夢を信じる人の目が「青い」ということに。

ルビッチとその母の目は青く澄んでいます。
しかし、ここでさらに驚きの事実に気づきます。

執拗にルビッチの夢を否定するキャラ
アントニオの目も澄んだ青をしているのです。

これが伏線だと気づいた時は嬉しくなりました。

そして、もちろんアントニオの目が青かったのは
彼自身も星に夢を見た人のひとりだったからです。

しかし、アントニオはその夢を追いかけることを
諦めたために執拗にルビッチの夢を否定していたんですね。

「夢を諦めた自分がバカみたいじゃないか」

そのセリフが印象的です。

プペルが洗っても洗ってもクサイ理由

伏線と言えばコチラもそうですね。
後半のシーンでその真実が明らかになります。

プペルの圧倒的やさしさ。
ルビッチの圧倒的すなおさ。

そこに涙します。

音楽による余白

作中では、ところどころ音楽だけで進むシーンがあります。
わたしはココに上手さを感じました。

どういう上手さかというと
観客自身が映画鑑賞中に考え事をする余白がある
ということです。

自分の気持ちや状況を振り返り
映画やその中の登場人物と対比して
感情移入できる余白があるんです。

ただドンパチやって勢いと
映像の派手さだけで終わってしまう映画とは
ひと味違うなという印象を受けました。

父性がひとつの題材になっている

えんとつ町のプペル大きな題材の1つが「父性」だと思います。

ルビッチの父親は強い父性の持ち主で
夢を語ることで指針を示し
行動する背中で語るという
なんともカッコイイ父親像そのものでした。

しかし、そんな父親が叶えられなかった夢を
息子のルビッチが叶えることで
父親超えをして1人前に成長していきます。

最後には、自身の弱点であった高所を克服し
高所を怖がる子どもに父親と同じセリフ

「下を見るから揺れるんだ、上を見るんだ」

とアドバイスするシーンまで含まれていますから
ルビッチが父性を手に入れたのがハッキリと分かる内容となっています。

1度観ただけでは残る疑問

もう一度見る機会があれば確認したい疑問がいくつかあります。

・なぜ、父はルビッチを「ちび」と呼ぶのか?
→名前を反対から読むことで一人前でないことを表現しているのか?
→だとしたら、鎖をのぼって高所を克服したシーンの後にルビッチと読んだはずでは?
→別に言葉遊び的な要素があるのか?

というような疑問が残っています。

・炭鉱泥棒おしゃべりスコップとは?
→どういう存在で、なぜ国の秘密について詳しいのか?

・レター15世は何を思っていたのか?
→ずっと曖昧な表情で最後まで自己表現しなかったのは、なぜか?

・レター15世を操作していたのは誰か?
→中央銀行の人間なのでは?
→反乱の種をえんとつ町に閉じ込め続けていたのでは?

という感じでいくつか疑問が残りました。

最後に

レイトショーで観たので
その前に結構お酒を飲んで観たので
見落としも多かったと思いますが
スゴく楽しく見られてよかったです。

そして、そのまま夜中の1時から書いた感想ですので
文章がとっちらかっており、申し訳ありません(笑)

今年の最後に一番を更新する映画になるかと思いましたが
『TENET』を超える興奮はありませんでした。

しかし、超オススメできる映画と言えますので
自分らしく生きられていない人や
目標なく生きている人、楽しいことがない人には
見てほしい映画ですね。