クライアントの無茶ぶりへの対処法

書評

マジシャンである私に
とんでもない連絡がやってきた。

それは数年会ってない同級生からだった。

要約すると

「前もらったトランプ数枚欠けたから、トランプちょうだい」

という旨のものだった。
この時点で「どこが、とんでもないの?」
と思った人は、とても危険なので先を読み進めてほしい。

今回、連絡をしてきたのは女性だったので
この事態をできるだけショッキングに
分かりやすく例えるとするなら

「風俗嬢だったよね?一発ヌいてくれない?」

である。よく分かっていただけただろうか?

想像してみてほしい。

もし、同級生から数年ぶりに連絡が来たと思ったら
上記のような内容だった場合
あなたはどんな対応を取るだろうか?

私は今までは、その都度、腹を立てて怒っていたが
経験上、怒っても何も生み出さず
逆に言えば角が立ってしまって悪い結果になる。

なので、懇切丁寧に家まで新品のトランプお届けして
同級生のお母様としっかり世間話をしてきた。

実はこのような事態は今回だけではない。

「予算が厳しくて多く出せないけど」というクライアントから
1回30分でショーの依頼を受けたときのことだ。

詳細の打ち合わせになってクライアントから衝撃的なことを言われる。

「ついでに、2回公演できない?」
「朝早く来て、受付で簡単なマジックしてよ」
「私たちでもできるマジック教えて」

このときのクライアントは幼稚園の先生だったので
これも分かりやすく例えるなら

「ついでに、夕方以降も子ども預かってよ」
「朝は他の子よりも早くお迎え来てね」
「教材使いまわしたいから、ちょうだい」

という感じだろうか?

こんなことを言う親がいたら
モンスターペアレントだと騒ぐこと間違いなしだと思うが
なぜか私たちのような特殊な職業の人間には
まかり通ると思っている人があまりにも多いのだ。

ハッキリ言えば、相手の職業を軽んじた失礼極まりない発言だ。

ただ、擁護するわけではないのだが
無知なだけで、この人達に罪はないのだ。

では、罰はあるのか?と言われれば
罪と罰にあるような顛末は期待できないとしか答えられない。

さて、これだけでは単なる失礼な言動を
理解してもらうだけの愚痴になってしまいかねないので
しっかりと対処法についても論じておきたい。

上記したような言動をする人は
いくら説明しても理解してもらえない場合が99%だ。
さらには、たいていの場合

「ちぇ、ケチくせえマジシャンだな」

となってしまって角が立つ。
なので解決策するには以下のような予防線が必要だ。

・単価を高く設定する
・商品内容を明確にする
・マネージャーをつける

これで上手くいくだろう。

まず「単価を高く設定する」のは
それなりの金額を払う人には
上記のような発言をする人が少ないということだ。

(まれに金さえ払えば何でもするだろうという輩がいるのも事実だが)

単価を高くすることで
ある一定の水準でビジネスについて理解のある人からの
依頼に限っていくことが問題を解決する第一歩なのだ。

わたし自身、個人で打ち合わせや交渉を行ってきたが
上記のような状況に陥ったときは、どのように答えても
マジシャンである本人から伝えると角が立ってしまった。

だから「マネージャーをつける」必要がある。
そうすることで…

「私はマジックしたいんですけどね」

という建前をおいて

「マネージャーに怒られるので」

という本音でカバーする方法を取ることができる。

そうしてマネージャーから丁寧に説明してもらい
それでもクライアントが理解できない場合は
丁重にお断りしてもらおう。

このときの丁寧な説明に「商品内容を明確にする」が役立つのだ。

これはマジシャンに限らず
その他の個人で仕事をする人たちに
頻繁に起きている事態のようだ。

ここで1冊紹介しておきたい本がある。

それは西野亮廣さんと堀江貴文さん共著の
『バカとつき合うな』である。

上記した失礼なことを言う人には会社員が多い。

『バカとつき合うな』にもあるが
その人達からすると仕事をしている時間は
そもそも会社から奪われた時間であり
他人にとっても、そのような時間だと思っているので
他人から時間を奪うことを何とも思っていない。

だから、時間であったり
自分たちの商品の価値を守ることに
ものすごく無頓着なのだ。

これは何も責めることではなく仕方ないことなので
会社員の人にはそういう傾向が強いことを理解して
コチラ側が予防しておかないといけないということなのだ。

あえて言わせてもらいたいのだが
会社員の方にも、理解が深く、親切丁寧に
対応してくれる人は結構いる。

全員が全員そうではないので
会社員ということをバカにしているわけではないし
私自身も合計すると4年くらいは会社員をしていた経験がある。

すこし脱線してしまったので話をまとめると
個人で仕事をする人は常に自身の商品の価値を守っていく必要があり
そのためには予め対策を練っておく必要がある。

その対応とは以下の3つだ。

・単価を高く設定する
・商品内容を明確にする
・マネージャーをつける

どれか1つだけでもやっておくと効果があるだろうと思う。

以上を踏まえた上で
同じような悩みを持つ方たちには
ぜひ予防を徹底してもらって
悩みを解決してもらえると嬉しく思う。