「無趣味で困っています」の対処法

日記

実は、私は服に興味がない。未だに高校生の時に買ったマフラーを使っているし、最近は、そんな私を見かねた先輩が温かい上着をくれたくらいだから、相当なのだと思う。たしかに、その他には同じシャツが3枚とパンツが2枚、そのほか下着類が数枚ずつあるだけだ。厳密にはマジックをするときの衣装もあるが、それはプライベートのものではない。

とはいえ、もっとツワモノもいる。私の友人だ。彼は26歳になった今でも母親が服や靴を買ってくると言う。先日は気づけば靴が新調されていたとも言っていて、そこで靴がボロボロだったことに気づいたのだとか。そして先日、26歳にして始めて自分で服や靴を買っていた。それも服を買う時には私が付き添った。彼はひとりでも買い物に行くくらいの甲斐性はあるし、特にマザコンというわけでもない。ただ、衣食住の「衣」に驚くほど興味がないだけだ。

さて、これは「趣味」の話だ。

そんな私たちにも共通の趣味がある。それは「食」だ。食べることが好きなのだ。私は好きなお店を見つけたら、1つの場所に何度も通うタイプだ。地元の大阪には、月1で通っていたお好み焼き屋もあるし、焼肉屋もあるし、カフェやバーもある。一方で私の友人はいつも違う店を探す冒険家タイプだ。知っている店のバラエティも豊富で、彼と食事に行くと飽きがない。彼に聞いてみると、特にネットにあるグルメサイトは参考にせず、行きたい場所を起点にGoogle Mapで飲食店を探して、雰囲気の良さげな店を見つけたら行ってみるのだと言う。自分の嗅覚を大事にして店探しをするようだ。私はこの方法に感心して、ときたま同じ方法を使ってみる。そうすると、いわゆる「あたりの店」に出会ったりする。そうした時に得る感覚は、とても心地のよいものだ。自己肯定感の高まりとあたりを手にした高揚感が相まって、すごく満たされた気持ちになる。オススメの方法だ。

一応、私の方法もお伝えしておこうと思う。至ってシンプルで誰でも簡単にできる方法だ。ただ店の外観を見て、直感で入るか否かを決める。それだけだ。予定のあった場所をフラフラと散策してみて、雰囲気のいい店を見つけたら飛び込んでみるのだ。これも意外にいい。私の場合、観察力だけには自信があるので、外観やチラッと覗き見えた店内の様子から、よい店か悪い店かはひと目で判断がつく。もちろん、食事をしている客の様子も大事だが、それは意外と当てにならないこともあるので、あくまで店構えと店員の様子が大事だ。細かく言うとキリがいないので、あくまで直感に従うということだけは大事にしてほしいと思う。

ここで話を戻そう。

私が思うに人間は「両面性のある生き物」であると考えている。そして、ある一面から全体を把握するのは不可能だと思うほどに複雑だと考えている。つまり、とことん興味のないものがある人には、切っても切っても切り離せないくらい好きなものがあると思っている。多くの人が「無趣味なのが悩み」だと言うが、そういう人にかぎって、強烈に好きなものがあったり、ある事柄にすごく詳しかったりする。ただ、それに自分自身で気づいていないか、他人と上方比較して自分の程度では趣味とは言えないと勝手に決めつけているにすぎない。

なので、いま一度、自分と向き合ってみてほしい。

周囲の考えや評価など気にせず、自分の好きなものはなんだろうと考えてほしいのだ。そうすると、私や私の友人のように、いい年になっても他人に服の世話をされるほどにダメな部分がある一方で、自分が幸せでいられる趣味を持つことができる。今の時代、あらゆる広告が「絶対たのしいよ!」「いますぐ買ってね」「無料だから一回遊んでみて!」と大声を上げて近づいてくる。そうした見せかけの楽しいものは数多くあると思うが、本当に心の底から人生に充足感を与えてくれるものは少ない。そうしいた充足感を得られるものをひとつでも手にできたのなら、人生は大満足なものになるのではないだろうか。